この記事では簿記2級とFP3級の資格を持つ私が、私と同じサラリーマンが仮想通貨投資をするときの必須知識である仮想通貨の税金の仕組みを解説します!
この記事で解決できるお悩み
- 暗号資産(仮想通貨)投資をして儲かった場合、税金ってかかるの?
- 税金がかかるとしたら、いつ、どうやって払えばよいの?
この記事の結論
- 暗号資産(仮想通貨)取引による利益は「雑所得」に区分される
- 雑所得の合計が年間20万円超の場合は、税金を払う必要がある
- 税金を払う必要がある方は、必ず確定申告しましょう
はじめに
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)の取引をするとき、知っておかなければならないのが税金の仕組みです。
税金の仕組みを理解していないと、後からたくさんの税金を納めなければならないことを知り困ってしまうことになりかねません。
そこでこの記事では、暗号資産(仮想通貨)投資をしていて、
- どんなときに税金がかかるのか?(When?)
- だれが税金を払う対象になるのか?(Who?)
- どのくらいの税金を払わなければいけないのか?(How much?)
- どうやって税金を払うのか?(How?)
について具体的なケースを交えながら解説します。
どんなときに税金がかかるのか?(When?)
暗号資産(仮想通貨)は保有しているだけでは税金がかかりません。
サラリーマン投資家のあなたが暗号資産(仮想通貨)の取引をして税金が課税されるタイミングは次の3つです。
- 暗号資産(仮想通貨)を売却したとき
- 暗号資産(仮想通貨)で買い物をしたとき
- 暗号資産(仮想通貨)で他の暗号資産(仮想通貨)を購入したとき
しかし一般のサラリーマン投資家の方には無関係なことなので、この記事では説明を割愛します。ご了承ください。
この後、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
暗号資産(仮想通貨)を売却したとき
暗号資産(仮想通貨)を売却したタイミングで利益・損失が確定し、売却金額が購入金額より高ければ課税の対象になります。
例)10万円で購入したビットコインを40万円で売却
売却金額40万円 − 購入金額10万円 = 差額30万円が課税対象
暗号資産(仮想通貨)で買い物をしたとき
暗号資産(仮想通貨)で支払い(決済)をしたタイミングで利益・損失が確定し、決済時の時価が購入金額より高ければ課税の対象になります。
例)10万円で購入したビットコインを使って、40万円の時計を購入
※つまり10万円のビットコイン(BTC)が40万円に値上がりしているケース
時計の代金40万円 − 購入金額10万円 = 差額30万円が課税対象
時計の購入自体でなく、その前に暗号資産(仮想通貨)を一度売却したタイミングで課税が確定しているのです。
暗号資産(仮想通貨)で他の暗号資産(仮想通貨)を購入したとき
暗号資産(仮想通貨)と他の暗号資産(仮想通貨)を交換したタイミングで利益・損失が確定し、交換時の時価が購入金額より高ければ課税の対象になります。
例)10万円で購入したビットコインを使って、40万円分の他の暗号資産(仮想通貨)と交換
※つまり10万円のビットコイン(BTC)が40万円に値上がりしているケース
暗号資産(仮想通貨)の交換価格40万円 − 購入金額10万円 = 差額30万円が課税対象
「持っていた暗号資産(仮想通貨)を一度売却し、そのお金で他の暗号資産(仮想通貨)を購入した」と考えましょう。
他の暗号資産(仮想通貨)の購入自体でなく、その前に元々保有していた暗号資産(仮想通貨)を一度売却したタイミングで課税が確定しています。
たとえば「ビットコインが大きく値上がりして儲かったから、その儲け分で試しに草コインを買った」というケースです。
※草コインとは、知名度が低く、時価総額が小さい仮想通貨のことです。
この場合、ビットコインの儲け分の税金は払わねばなりません。
しかし税金を払う時期になって、「草コインが暴落していて、手元にお金がないから税金を払えない…」という最悪の事態になる可能性があるのです。
あなたはこんなことにならないよう、注意しましょうね。
だれが税金を払う対象になるのか?(Who?)
仮想通貨で得た利益の所得区分は「雑所得」
国税庁はビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の取引によって得られた利益は、原則として「雑所得」に区分するとしています。
雑所得にならないのは暗号資産(仮想通貨)の取引を事業としているケースなど一部に限られ、その際は「事業所得」に区分されます。
【参考】『仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)』(令和元年12月20日 国税庁)
年間20万円を超える人は税金を払わなければいけない
国税庁の定めでは、
- 給与所得者のうち「1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」
は確定申告が必要だととしています。
【参考】国税庁ホームページ『給与所得者で確定申告が必要な人』
これから暗号資産(仮想通貨)取引をする際には、
ということを意識するようにしましょう。(忘れないよう都度、記録しておくと良いですね。)
雑所得は合算すること!
暗号資産(仮想通貨)取引で得た利益が20万円以下でも、他に雑所得がある場合にはそれらを合算して課税所得額を計算しなければならないことに注意しましょう。
雑所得に区分されるものには、たとえばアフィリエイト報酬やせどりの利益などがあります。
暗号資産(仮想通貨)投資以外にも副業をしている方は、特に注意して雑所得の合算が20万円を超えるかを計算するようにしましょう。
また住民税については所得金額に関係なく、別途申告が必要となります。
どのくらいの税金を払わなければいけないのか?(How much?)
雑所得は累進課税、200万円の利益で37万円の増税になることも!
国税庁は雑所得の計算方法を、以下のように定めています。
雑所得の金額は、給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。
(出典:国税庁HP『雑所得』)
暗号資産(仮想通貨)の取引で得た利益である「雑所得」は、給与所得とあわせて「累進課税」が適用されるのです。
これは以下の表の通り、利益が上がれば上がるほど納税額が増えていく仕組みです。
【所得税の税率(速算表)】(令和3年4月1日現在)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(出典:国税庁HP『所得税の税率』)
※平成49年(2037年)12月31日までの間に生じた所得には、所得税とともに復興特別所得税が課税されます。
一方で株式投資やFX(外国為替証拠金取引)で得た利益はいずれも、他の所得と分離して税額を計算する「申告分離課税」が適用され、所得の額に関わらず一律で20.315%です。
株式やFXに比べて、仮想通貨では大きな利益を出した場合により多くの税金を払わなければなりません。
仮想通貨は、投資家にとっては不利な税制の下にあるのですね。
ではここで実際にどのくらいの所得税がかかるのか、ビットコイン(BTC)の取引で200万円の利益を得た会社員Aさんのケース(事例)を見てみましょう。
例)会社員Aさんのケース
※下記例示では所得税額のみを計算しており、復興所得税額及び住民税額の計算は行なっておりません。
ケース1:ビットコインの利益がない場合
年収 600万円
課税所得 300万円(収入から所得控除を控除し、所得税が課税される金額)
雑所得 0万円(ビットコイン(BTC)取引の雑所得なし)
所得税額 300万円 × 税率10% − 控除額9万7500円 = 20万2,500円
ケース2:ビットコインの利益200万円がある場合
年収 600万円
課税所得 300万円(収入から所得控除を控除し、所得税が課税される金額)
雑所得 200万円(ビットコイン(BTC)取引の雑所得あり)
所得税額 300万円+200万円 × 税率20% − 控除額42万7500円 = 57万2,500円
ビットコイン(BTC)の取引で200万円の利益があったAさんの場合、約37万円の所得税の負担が増えました。
なお課税所得が増えると住民税や健康保険などの社会保険料も増えるため、実際の負担はもっと大きくなります。
このことを事前に理解しておくことが、仮想通貨投資をするとき重要ポイントです。
また所得控除には医療費控除や住宅ローン控除など様々な控除制度があり複雑です。
実際の申告に当たっては最寄りの税務署又は税理士の専門家に相談しても良いでしょう。
どうやって税金を払うのか?(How?)
暗号資産(仮想通貨)取引で得た利益に対して税金が発生する(増加する)のは、「所得税および復興特別所得税」と「住民税」です。
"所得税および復興特別所得税" は確定申告して支払い
仮想通貨の売買損益にかかる所得税は、1月1日から12月31日までの1年分の取引総額が対象です。
1年分の雑所得の合計が年間20万円を超えた場合には、確定申告をして納税(税金の支払い)をする必要があります。
確定申告の前に準備する主な資料
確定申告をするときに必要な書類は、取引履歴をはじめとした収支を計算するための資料です。
具体的には以下のようなものです。
- 1年間の収支の一覧
- 1年間の取引の一覧
- 1年間の経費の一覧
- 経費として支出した際の領収証
- 暗号資産(仮想通貨)で買い物をしたときの領収証
「暗号資産(仮想通貨)をいくらで買っていくらで売ったのか?」や「他の暗号資産(仮想通貨)と交換したときのレートはいくらだったのか?」を、その都度アプリやエクセルなどを使って一覧にまとめておくと良いでしょう。
またその際には、取引所や交換所が発行した履歴や買い物の際の領収書など証拠として提示できるものも一緒に整理・保管しておくことをおすすめします。
なお収支から合計の所得(利益)額を計算する方法には、「移動平均法」と「総平均法」の2つがあります。
「移動平均法」とは、仮想通貨を購入するたびに購入額と残高を平均し所得を計算する方法です。
一方の「総平均法」とは、1年間の購入平均レートをもとに計算した総購入金額と売却合計金額の差額(所得)を計算する方法です。
申告の際はいずれかを選択する必要があります。
1度選択した計算方法は、翌年以降も継続して使用しなければならないルールがありますので注意が必要です。
暗号資産(仮想通貨)の取引で経費と考えられる主なもの
また暗号資産(仮想通貨)の取引をするために必要な出費は、経費として利益から控除できます。
具体的には以下のようなものです。
- 取引に使うパソコンやパソコンのパーツ
- ハードウェアウォレット
- 取引の際に支払った手数料
- インターネットの通信料
- スマートフォンの通信料
- 暗号資産(仮想通貨)に関する書籍や情報料、アプリの利用料
- 電気料金
個々の経費が必要経費に該当するかどうかは個別具体的に判断されます。
実際の申告に当たっては最寄りの税務署又は税理士等の専門家に相談すると安心です。
経費については「いつ?」「どんなものに?」「いくら?」使ったのかを一覧にして、支出を裏付ける領収書と一緒にまとめておくと良いでしょう。
なお確定申告では準備した資料をもとに1年間の損益を計算し、申告書に記入して提出します。
その際には詳細な取引データや領収書を添付する必要ありませんが、収支を一覧にした資料を添付して提出すると丁寧です。
また確定申告で所得を計算するために使った資料や領収書は5年間、帳簿類に関しては7年間の保存義務があります。
税務署から問い合わせを受けた際に提出できるよう、大切に保管しておきましょう。
確定申告の時期(期限)
確定申告で1年間の所得と納税額を計算したら、不足する所得税と復興特別所得税を納めなければなりません。
所得税及び復興所得税の確定申告期限は、毎年「原則2月16日から3月15日まで」が期限となります。
もし期日までに書類の提出が間に合わなければ、無申告加算税が発生する可能性があります。
また期限内に納税が行われなかった場合は、延滞税がかかるため注意が必要です。
※年によって期限日が異なる場合があります。詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。
慌てないように、早めに確定申告を済ませておきましょう。
損益通算、繰越控除できない!
不動産貸の貸付などで得られる不動産所得、個人事業などの事業所得、株式などの売買で得られる譲渡所得などは、損失が生じた場合に利益が出ている所得から差し引き課税対象額を減額する「損益通算」が可能です。
しかし仮想通貨の場合、「仮想通貨同士の損益」や「雑所得内での損益」は差し引きが可能ですが他の金融資産などに対して損益通算はできません。
(たとえば、株式取引の利益と仮想通貨取引の損失を相殺することはできません。)
また株式投資などでは、利益から差し引いてもさらに損失が残る場合に向こう3年は損失を繰り越しする「繰越控除」が可能です。
しかし残念ながら、仮想通貨は繰越控除も対象外です。
株式など他の金融商品投資と比べて "税制面では不利" なのが現状なのです。
"住民税" は納税通知書を確認して支払い
前年(1~12月)の所得をもとに計算される住民税は、6月頃から約1年間かけて支払います。
お住まいの自治体から納税通知書が送付されてきたら、納付期限までに納税しましょう。
まとめ
この記事では、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)取引の税金の仕組みをご紹介しました。
ここで一度、おさらいしましょう。
課税所得が増えると住民税や健康保険などの社会保険料も増えるので、その負担はもっと大きくなることに注意しましょう。
また住民税は、お住まいの自治体から納税通知書が送付されてきたら納付期限までに納税すればOKです。
ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の取引が広く行われるようになったのはここ数年のことで、これから税金の仕組みや納税の方法が変わる可能性もあります。
最新の情報をチェックして、申告漏れがないように注意しましょう。
また所得の計算や確定申告のときには国税庁のホームページを参考にして、それでも分からない場合には専門家に相談することも大切です。
また確定申告の作業負担を軽くしたいなら、会計ソフトの利用も検討してみても良いでしょう。
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投資は自己責任で行うものです。
だからこそ、制度やルールを必ず自分の頭で理解をしてから始めましょう。
この記事があなたが暗号資産(仮想通貨)投資をはじめるためにお役に立てたなら幸いです。
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